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ダイハツ工業は2023年4月に、車両認証プロセスにおける深刻な不正行為を公表しました。
特に注目されたのは、側面衝突試験において、前席ドアの内張り部分に不正加工を施し、法規定の試験手順に違反していた点です。
この不正行為は主にタイやマレーシアなど東南アジア市場向けの約9万台の車種に影響を及ぼしました。
ダイハツのみならず親会社であるトヨタ自動車にも大きな影響を与え、多くの対象車種がトヨタブランドのOEM車であったため、トヨタの豊田章男会長と佐藤恒治社長も緊急会見を開き、グループ全体の問題として謝罪しました。
問題は一度は収束したかに見えましたが、2023年5月には新たな不正が発覚。
国内販売の2車種で、片方の衝突試験結果をもって逆側の結果として提出していたことが判明したというもの。
2023年12月には、第三者委員会からの報告書が公表され、ダイハツの国内全工場での出荷停止や国土交通省による立ち入り検査に至りました。
報告書では、64車種にわたる174件の新たな不正が明らかになり、特に実験データの改ざんが多かったことが指摘されました。
当初は再検査で車両の法的安全基準がクリアされているとされていましたが、報告書によって事態の深刻さが改めて浮き彫りになった形です。
ダイハツは倒産するのか?
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いまだ今後の出荷等について見通しがたたない中、ダイハツがこのまま倒産してしまうのではないかと心配する声も多いようです。
識者の間では、親会社がトヨタなので倒産することはないという見方が多数ですが、はたしてこのままダイハツ工業のブランドが存続するのか微妙な気はします。
ダイハツ工業が直面している不正問題は、自動車業界における過去の事件とは異なる側面を持っています。
過去の事件ではタカタや三菱自動車のように死傷者が出るなど深刻な結果を招いたケースがありましたが、今回のダイハツのケースでは、そうした極端な結果には至っていないようです。
これは、事態の深刻さをある程度緩和する要因となっています。
しかし、長期にわたる大規模な不正行為が経営陣によって把握されていなかった、あるいは是正されていなかったことは、極めて重大な問題です。
これにより、企業の内部統制の欠如が露呈し、信頼性とブランドイメージに大きなダメージを与えています。
ダイハツの親会社であるトヨタ自動車は、日本を代表するトップ企業であり、その影響力は世界的にも大きいです。
トヨタがこの問題に対してどのように対応するかは、ダイハツだけでなく、日本の製造業全体にとっても重要な意味を持ちます。
徹底した対応と問題解決への意志が、今後の業績回復や信頼性の再構築に大きく影響するでしょう。
この問題は、2017年に見られた東芝の粉飾決算や神戸製鋼のデータ改ざんなど、日本の製造業における一連の不正行為に続くものです。
これらの事件は、日本の製造業全体の信頼性を損なう原因となりました。
ダイハツは今回の不正問題から学び、再発防止に向けた厳格な対策を講じる必要があります。
また、自動車業界全体もこの問題に真摯に向き合い、より高い倫理基準と透明性を確立することが求められています。
日本の基幹産業である自動車産業の信頼性を保護し、国際社会での日本の信頼性を確保するためには、このような課題への取り組みが不可欠です。
ダイハツをめぐる金融機関の動き
ダイハツ工業の車両認証試験における不正が原因で、全車種の出荷が停止されたことを受け、多くの金融機関が関連する企業への支援策を打ち出しています。
この出荷停止により、ダイハツの取引先や関連企業に影響が及ぶことが懸念されています。
この事態に対応するため、池田泉州銀行は、特別な相談窓口を設置しました。
この窓口は、大阪、兵庫、京都、和歌山、東京の5都府県にある52店舗で運営され、影響を受ける可能性があるダイハツの取引先企業を対象に、事業資金の調達や融資の返済に関する相談を受け付けています。
同様の対応は、ダイハツが工場を構える地域の金融機関でも見られています。
京都銀行は全店舗に加えてローン営業部にも相談窓口を開設し、ダイハツの取引先の従業員や住宅ローンを利用している顧客をサポートしています。
また、滋賀銀行も6店舗で類似のサービスを提供しています。
さらに、ダイハツの親会社であるトヨタ自動車の本拠地や自動車産業が集積する愛知県の愛知銀行、新潟県の大光銀行、鳥取県の米子信用金庫なども支援のための窓口を設置。
出荷停止は少なくとも今月末まで続く見通しで、影響はさらに広がる可能性があります。
このように、金融機関各社はダイハツの事態に迅速に対応し、影響を受ける企業や個人に対して支援を提供している状況です。
今後も同様の取り組みが増えることが予想されます。
ダイハツの工場はどうなる?
ダイハツ工業には日本国内に4つの主要工場があり、それぞれが地域の重要な雇用源となっています。
滋賀県の滋賀工場、京都府の京都工場、大分県の大分工場(ダイハツ九州の子会社)、そして大阪府池田市に位置する本社工場がそれにあたります。
これらの工場では多くの地元住民が従業員として働いており、その数は合計で約8700人に上ります。
ダイハツが倒産するという事態になれば、これらの従業員が失業するリスクが生じます。
しかし、ダイハツの親会社であるトヨタの支援があるため、そのような事態は避けられると考えられます。
現在、ダイハツの国内工場は稼働を停止しているものの、工場の停止期間中も従業員には機材や部品の整理、工場の清掃などの業務が与えられ、給与の維持が図られています。
もし最悪の事態、つまり倒産に至るようなことがあっても、従業員はトヨタグループ内の他の会社に異動する余地もあるでしょうし、人不足の工場関連の仕事の斡旋など、トヨタの持つネットワークをフルに活用してくるのではないでしょうか。
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ダイハツ工業にリストラはあるか?
倒産は免れたとして、ダイハツ工業にリストラはあるのでしょうか。
今後の信頼回復にかかってはいますが、過去の三菱自動車が不正をおこした時の対応を参考までに書いておきます。
三菱自動車工業は、経営の効率化を目指す名目で、人員削減策を打ち出しました。
早期退職制度の導入で、この制度は30代後半から50代後半の管理職約2800人を対象にし、2001年の1月から3月末までの間に希望者を募りました。
三菱自動車は、過去のリコール隠し問題の影響で財務状況が厳しく、2000年度は予想を上回る赤字が見込まれ、2004年4月以降に間接人員を8900人まで減らす計画を打ち出しました。
退職金の積み増し額を従来の「月収1カ月〜23カ月分」から「6カ月〜44カ月分」に引き上げるとともに、転職を希望するが再就職先が見つからない社員向けに、月収の8割を保証しながら1年間休職扱いにする転進支援制度も提供されていました。
こられの対応をみると、ダイハツに倒産やリストラの危機があったとしても、急に潰れるわけではなく、長期スパンで従業員のことも考えながら進んいくものと思われます。
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ダイハツは倒産するのか、ネットの反応
ダイハツが倒産するのか、現在ダイハツの車を所有している人も含め、気になる人は多いと思います。
ネット上ではどのような声が上がっているのか、反応をみていきたいと思います。
トヨタの完全子会社であるダイハツが倒産する可能性はないのでは。ビッグモーターよりもダイハツの方が大きな企業だと思いますが、ビッグモーターでさえ伊藤忠商事がサポートするという話があります。同様に、トヨタが親会社であるダイハツも問題はないでしょう。ダイハツの倒産は、社員だけでなく、多くの関連産業に大きな影響を及ぼすため、トヨタだけでなく他の企業からも支援が提供される可能性が高いと思う。
倒産はしないと思うけど、ダイハツというブランドが存続するかはまた別の話では。最終的には全てトヨタブランドに変わっていくような気もします。
三菱の時は多分今回以上に叩かれていたと思うけど、倒産はなかった。フォルクスワーゲンも潰れる気配はないし、時間が経てば忘れてしまうのも人間の性。ただダイハツの業績回復までどのくらい時間がかかるかは不明。
ダイハツは持ち堪えると思うけど、工場が停まっている今、厳しい関係先の中小企業はたくさんあると思う。これらも含めてトヨタがバックアップしてくれるのかも重要な気がする。
ダイハツの車に乗ってるけど、何の問題もない。いい車だと思うし、こういった不正はどこでもやっているのでは?日本企業の品質神話みたいなのは、もともと存在しないような気もする。
全然別の業種の工場で働いていたことあるけど、かなりいい加減だった。日本のものづくりってこんなレベルなのと驚いたことがある。外車に比べたらまともに走っているのだから、問題ないといえばそれまでだけど。
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ダイハツの倒産やリストラに関するまとめ
ダイハツが倒産やリストラするのかについてまとめると要点は以下のようになります。
・ ダイハツの現状では、今後の出荷などの見通しが立っていない。
・ 親会社がトヨタであるため、多くの識者はダイハツが倒産することはないと見ている。
・ ダイハツ工業のブランドが存続するかは不確かな状況。
・ダイハツが直面している不正問題は、他の自動車業界の過去の事件と異なる側面を持つ。
・ 過去の事件に比べて、ダイハツのケースでは深刻な結果(死傷者等)には至っていない。
・ トヨタ自動車の対応がダイハツのみならず、日本の製造業全体に影響を及ぼす。
・ この問題は2017年の東芝や神戸製鋼の不正行為に続く日本製造業の信頼性の問題。
・ ダイハツは再発防止に向けて厳格な対策を講じる必要がある。
・ 関連企業の連鎖倒産を避けるべく、銀行も融資に動き始めている。
・ 日本の自動車産業の信頼性保護は、日本の国際的信頼性確保にもつながる。
・ ダイハツ工業の倒産を免れたとしても、リストラの可能性は否定できない。
・ 過去に三菱自動車は経営効率化のため人員削減策を実施。
・ ダイハツにリストラの危機がある場合も、急激な閉鎖はなく、従業員の状況を考慮しながら段階的に進むと推測される。
2024年になり、他に大きな事件が相次いでいるので今のところそこまで大きく報道されていませんが、今後の日本の産業の行く末にも影響するダイハツの未来には要注目かと思います。
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